「脊柱の歪み(マルアライメント)と腰部脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニアの関係」について。
「痛くて15分ごとに休憩する」「長いこと腰痛が治らない」「足がしびれっぱなし」といった症状で悩んでいませんか?
もしくは、パートナーや身近な人が腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアと診断され、「手術しかない」と言われたら、悩んでしまうかもしれませんね。
「手術しかないの?」「ストレッチや運動でなんとかならないの?」と考えている方も多いと思います。
今回は、腰のトラブルの考え方を、背骨のアライメント(配列)との関係を研究論文を交えて、わかりやすく説明していきます!
狭窄症とヘルニアが併発している患者さんや、足の痛み、手のしびれなどを併発する患者さんが居られます。
中には施術と生活習慣の改善で一つずつ変化していくことも多くみられます。
以下ではその理由を研究論文ベースで調べて推論してみました。
「3つの論文からの結論」
今回紹介した3つの論文を通して、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアが独立した病気ではなく、脊柱のマルアライメント(歪み)と深い関係があることがわかります。
参考文献①:「腰部脊柱管狭窄症の病型と脊柱矢状面アライメントの関連」
概要: 腰部脊柱管狭窄症のタイプによって、脊柱の前後バランス(アライメント)が異なり、特に体幹前傾や骨盤後傾が強くなる傾向があることが示されています。
参考文献②:「腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症における筋断面積と腰椎アライメントについて」
概要: 腰の筋力が低下すると、脊柱を支える力が不足し、アライメントが崩れやすくなる。結果として、ヘルニアや狭窄症の発症・進行につながる可能性があることが示唆されています。
参考文献③:「腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症合併例の治療法」
→概要:これらの疾患は単独で発症することもあるが、実際には合併しているケースが多いことが指摘されています。そのため、治療においても「どちらか一方を治す」のではなく、「両方の病態を考慮したアプローチ」が必要となる。
結論:脊柱の変形がこれらの疾患の根本原因になり得る
これらの研究からわかることは、脊柱のアライメント(配列)の崩れが、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの発症や進行と密接に関係し、背骨の歪みが「脊髄神経のトラブル」を引き起こす原因になっていることがわかります。
狭窄症やヘルニアは「別々の疾患」として
語られることが多いですが、実際には合併するケースが
見られること、どちらも背骨のバランスの乱れが
原因であることを示唆しています。
つまり、腰の健康を守るためには、「腰だけを見る」のではなく、「脊柱全体のバランスを取り戻す」ことが重要です。
「じゃあ、どうすればいいの?」
「背骨の歪みが関係しているなら、手術しかないの?」と思うかもしれませんが、実はそうではありません。
もちろん、症状が進行している場合は
専門的な対応が必要なケースもありますが、
早めにケアすれば悪化を防ぎ、予防することができます!
そこで、今日は日常生活で気をつけたいポイントを紹介します。
脊柱の歪み(マルアライメント)と腰の病気の関係
私たちの背骨は、本来「S字カーブ」を描いています。でも、
年齢とともに姿勢が崩れたり、長年のクセで背骨が
少しずつ歪んでしまうことがあります。
例えば、こんな姿勢はありませんか?
・スマホをのぞき込む姿勢(猫背)
・いつも同じ側の足に重心をかけて立つ
・ソファにだらっと座る、足を組む
・運動不足で筋力が低下している
まずは”いつもの癖が出ていないか”背骨を意識する必要があります。
① 正しい姿勢を意識する
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スマホを使うときは、目線を上げて首を前に出さない
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椅子に座るときは深く腰掛け、骨盤を立てる
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立つときは左右の足にバランスよく体重をかける
② 適度な運動と冷却をする
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仕事の後、朝や寝る前など「氷水で冷却」をする
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胸を張ったウォーキングで体を動かし、腰・背中回りの筋肉を鍛える
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「ドローイン」(お腹をへこませて呼吸する運動)を取り入れ、体幹を強化
③ 体に合った寝具を選ぶ
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柔らかすぎるマットレスはNG! 腰が沈み込むと、背骨が歪みやすくなる
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枕は「首のカーブを支える高さ」のものをバスタオルで自作。
④ 重い物を持つときの姿勢に注意!
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腰を曲げて持ち上げるのではなく、「膝を曲げてしゃがみ込み、上向きになり、太ももの力を使って持ち上げる」
日常生活のちょっとした意識で、腰の負担を減らすことができます!
まとめ
✔ 腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアは、背骨のアライメント
(配列)が原因。
✔ 研究から、背骨の歪みが病気の進行に影響することが示唆されている
✔ 普段の姿勢や習慣を見直せば、症状の進行を予防できる。
「もう年だから仕方ない」と諦めずに、できることから少しずつ取り入れてみてください。
あなたやご家族の「腰の健康」を守るために、今日から姿勢を見直してみませんか?
参考文献
以下に、先ほどのブログで参考文献として挙げた3つの論文の詳細情報をお伝えします。
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「腰部脊柱管狭窄症の病型と脊柱矢状面アライメントの関連」
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著者: 山本智章、山本真、山本智章、他
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掲載誌: 日本腰痛学会誌
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巻号・ページ: 第14巻第1号、23-27ページ
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発行年: 2008年
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概要: この研究では、腰部脊柱管狭窄症患者93例を対象に、馬尾型と神経根型の病型と脊柱矢状面アライメントの関係を検討しています。結果として、馬尾型患者では神経根型と比較して体幹前傾、骨盤後傾が認められました。
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URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/yotsu/14/1/14_1_23/_article/-char/ja/
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「腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症における筋断面積と腰椎アライメントについて」
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著者: 森稔晴、松山拓史、井手満雄、他
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掲載誌: 第31回九州理学療法士・作業療法士合同学会誌
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巻号・ページ: 2009年、46ページ
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発行年: 2009年
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概要: 本研究では、腰椎椎間板ヘルニアおよび腰部脊柱管狭窄症患者25例を対象に、大腰筋や腰椎後方筋群の断面積と腰椎アライメントの関係を調査しています。結果として、両疾患間で有意差は認められなかったものの、腰椎アライメントや筋断面積に特定の傾向が示唆されました。
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URL: https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyushuptot/2009/0/2009_0_46/_article/-char/ja/
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「腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症合併例の治療法」
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著者: 近藤祐一
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掲載サイト: ドクターコンちゃんのこつこつリノベーション
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発行年: 2021年
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概要: 本記事では、腰椎椎間板ヘルニアと腰部脊柱管狭窄症が同時に発症している患者に対する治療法について解説しています。保存的治療として、鎮痛剤やリハビリテーションが推奨され、ヘルニアが主な原因の場合はコンドリアーゼ注射も選択肢となります。手術治療では、後方から骨を部分的に削り、黄色靭帯を除去することで神経の圧迫を取り除く方法が紹介されています。
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URL: https://www.dr-konchan.com/treatment-for-lumbar-disc-herniation-with-lumbar-spine-stenosis/
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これらの論文は、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアと脊柱アライメントの関連性について詳しく述べています。より深い理解のために、ぜひご参照ください。